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オピオイド使用障害

オピオイド使用障害

Opioid Use Disorder

 

疾患の具体例

24歳、男性。20歳の時に手術をし、オピオイド系の鎮痛薬を使用しました。その際の多幸感が病みつきになり、オピオイド使用障害になりました。闇組織からヘロインを購入していましたが、そのせいで家族も仕事も失いました。ある夜、病院に忍び込んでオピオイド系の薬を盗もうとしたところを逮捕されました。

 

特 徴

オピオイドとは「麻薬性鎮痛薬」のことで、モルヒネ、ヘロイン、コデイン、オキシコドン、プロポキシフェンなどの種類があります。医療用麻薬と呼ばれることもあり、病気やけがの治療のために鎮痛薬や咳止め薬、下痢止め薬として使用されます。本来、目的とする効能以外に、多幸感や鎮静作用、抗不安作用などもあるため、乱用する人がいます。

オピオイド使用障害は、正当な医学的目的がないにもかかわらず、オピオイドの使用をやめられない障害です。治療に必要なオピオイドだとしても、処方された用量より多く使ったり、痛みがなくなったのに使用し続けたりする場合は、オピオイド使用障害の基準を含んでいます。

 

オピオイドは、大量もしくは継続的に使用すると中毒症状が起こり、重度の場合は呼吸停止になり、死亡する可能性もあります。オピオイドを使用しているために仕事や学校に行けなくなったり、離婚、失業、人間関係の深刻なトラブルなどが生じることもあります。しかし、それでもオピオイドをやめることができないのが、この障害の最大の問題と言えます。

 

この障害のある人は、強迫的にオピオイドを求めます。病気を偽ったり誇張したりして医師からオピオイドを処方してもらうこともあれば、複数の医療機関を受診して同時に処方を受けることもあります。手間と時間がかかりますが、オピオイドを入手するためであれば労をいといません。

また、薬物に関連した情報に敏感に反応するのも特徴的です。例えば、テレビでヘロイン粉末のような物質を見ると、オピオイドへの渇望がいっそう強くなる場合があります。こうした反応は、体から毒性がなくなったあとでも継続しやすく、再発の一因でもあります。

 

オピオイドは、少し使っただけでも体に耐性がつきます。最初は少量で効果が得られたのに、次第により多くのオピオイドが必要になるのです。急に使用を中断すると離脱症状が起こります。不快気分や吐き気、筋肉痛など離脱症状は多様です。

 

なお、オピオイドの使用によって口や鼻が乾燥したり、重度の便秘になったり、視力が落ちたりすることがあります。汚染された注射針を複数の人で共用すると、感染症のリスクも高くなります。

 

有病率

オピオイド使用障害の12カ月有病率は、一般人口の18歳以上の成人において約0.37%です。最初にこの障害になるのは10代後半から20代前半が最も多く、29歳以下の成人が0.82%と最多です。ただし、年齢とともに有病率は低下する傾向があり、65歳以上は0.09%です。

 

経 過

オピオイド使用障害は、何度も繰り返し、何年にもわたって症状が継続するのが普通です。治療を受けてオピオイドをやめたとしても、再発することが多く見られます。ただ、この障害のある人の約20〜30%は長期の使用中断に成功しています。

 

原 因

遺伝要因と生理学的要因:

オピオイド使用障害は遺伝要因が深く関係しています。例えば、衝動性や新奇性追求(異常なほどの好奇心)は個人の気質に関連しますが、実は遺伝子レベルで決まっている可能性があります。

 

治 療

オピオイドの過剰摂取によって危険な状態に陥っている場合は、緊急的に気道を確保したうえで喉の分泌物を吸引し、特異的オピオイド拮抗薬(ナロキソン)を投与します。回復の徴候は比較的早く現れます。ある程度落ち着いたところで、オピオイドの危険性についての教育をします。これが本質的治療です。自助グループによる継続的な励まし合いなども行われます。

 

診断基準:DSM-5

A. オピオイドの問題となる使用様式で、臨床的に意味のある障害や苦痛が生じ、以下のうち少なくとも2つが、12カ月以内に起こることにより示される。

  1. オピオイドを意図していたよりもしばしば大量に、または長期間にわたって使用する。
  2. オピオイドの使用を減量または制限することに対する、持続的な欲求または努力の不成功がある。
  3. オピオイドを得るために必要な活動、その使用、またはその作用から回復するのに多くの時間が費やされる。
  4. 渇望、つまりオピオイド使用への強い欲求、または衝動
  5. オピオイドの反復的な使用の結果、職場、学校、または家庭における重要な役割の責任を果たすことができなくなる。
  6. オピオイドの作用により、持続的、または反復的に社会的、対人的問題が起こり、悪化しているにもかかわらず、その使用を続ける。
  7. オピオイドの使用のために、重要な社会的、職業的、または娯楽的活動を放棄、または縮小している。
  8. 身体的に危険な状況においてもオピオイドの使用を反復する。
  9. 身体的または精神的問題が、持続的または反復的に起こり、悪化しているらしいと知っているにもかかわらず、オピオイドの使用を続ける。
  10. 耐性、以下のいずれかによって定義されるもの:
    (a) 中毒または期待する効果に達するために、著しく増大した量のオピオイドが必要
    (b) 同じ量のオピオイドの持続しようで効果が著しく減弱
    注:この基準は、適切な医学的管理下でのみオピオイドが使用されている人を満たすことは考慮されていない。
  11. .離脱、以下のいずれかによって明らかとなるもの:
    (a)特徴的なオピオイド離脱症候群がある。
    (b)離脱症状を軽減または回避するために、オピオイド(または密接に関連した物質)を
    摂取する。
    注:この基準は、適切な医学的管理下でのみオピオイドが使用されている人を満たすことは考慮されていない。

 

該当すれば特定せよ

寛解早期:オピオイド使用障害の基準を過去に完全に満たした後に、少なくとも3カ月以上12カ月未満の間、オピオイド使用障害の基準のいずれも満たしたことがない(例外として、基準A4の「渇望、つまりオピオイド使用への強い欲求、または衝動」は満たしてもよい)

 

寛解持続:オピオイド使用障害の基準を過去に完全に満たした後に、12カ月以上の間、オピオイド使用障害の基準のいずれも満たしたことがない(例外として、基準A4の「渇望、つまりオピオイド使用への強い欲求、または衝動」は満たしてもよい)

 

該当すれば特定せよ

維持療法中:この付加的な特定用語は、メサドンまたはブプレノルフィンなどの処方された作動薬を服用している場合で、その種類の医薬品に対してオピオイド使用障害の基準を満たさない場合に用いられる(ただし作動薬の耐性または離脱の場合は除く)。このカテゴリーは、部分作動薬や作動薬・拮抗薬、経口のナルトレキソンまたはナルトレキソンのデポ剤のような拮抗薬で維持されている場合にも適用される。

 

現在の重症度を特定せよ

軽度:2〜3項の症状が存在する

中等度:4〜5項の症状が存在する

重度:6項以上の症状が存在する

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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