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心の病気の種類

反芻症

● 症状

「反芻」(はんすう)とは、一度食べたものを再び胃から口の中に戻し、吐き出したり、また飲み込んだりすることです。反芻症は、一定程度、反芻が持続する状態を指します。アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル『DSM-5』では、少なくとも1ヵ月にわたって反芻が存在し、消化器系の病気や他の精神疾患などではうまく説明できないことを、反芻症の診断基準としています。

 

多くの場合、患者さんは乳幼児です。反芻をする時は、親指や手を口に入れて舌をリズミカルに吸い、逆流を起こすために背中を反らせる動作をします。反芻をした時はかなり満足そうにすることが多いようです。

 

反芻症は珍しい障害です。男児により起こりやすく、典型的には生後3〜12ヵ月の間に生じます。成長発達が正常な乳幼児にもみられますが、適切ではない養育を受けた乳幼児にもみられます。

まれに、年長の子どもや青年、大人も反芻症になることがあります。知的能力障害の子どもや青年、成人では反芻が続いていることが多いようです。

 

重症度はさまざまで、重症例では、栄養失調のため致命的となる場合もあります。 自然に軽快することが一般的ですが、進行性の栄養失調や脱水症状、疾病への抵抗力の低下のような深刻な二次的合併症が起きることもあります。

 

● 他の病気との関係

胃腸の病気との違い

幽門狭窄といって胃と十二指腸の間が狭くなる病気は、通常、吐き戻しがあるだけでなく、噴出するような嘔吐を伴います。一般的には、反芻が発症する生後3ヵ月より前に明らかになります。

 

発達障害や知的能力障害との関係

反芻症は自閉スペクトラム症や知的能力障害と併存することがありますが、これらには常同運動や食行動異常がみられることが珍しくありません。

 

不安症との関係

反芻症は、若者の重度な不安症と合併することがあります。神経症ややせ症、精神性過食症のような摂食障害に伴って生じることもあります。

 

● 原因

乳幼児の場合、反芻は自分を落ち着かせ安心を得るの行動だと考えられています。最初のうちは、反芻なのか、正常の乳児の吐き戻しなのか、なかなか区別がつきません。しかし、何度も反芻を起こすようになると、発達が正常の子どもとの違いは明白になります。

また、母親との関係が反芻を増加させるかもしれません。子どもの反芻が一向に改善しないのをみて、母親が「自分のやり方が悪いのか」などと自責すると、これが子どもの緊張を高め、反芻を引き起こす可能性があるのです。

 

若者で自閉スペクトラム症や知的能力障害のある人にとっては、反芻が自己刺激行動(一定の行動を繰り返して自らを刺激することで、外部からの刺激を遮断する)として機能します。また、過剰な刺激や緊張が反芻の原因となる可能性もあります。

 

いくつかの研究によると、反芻症は胃食道逆流のような胃腸症状が併存することがわかっています。スリランカの調査では、10〜16歳の子ども約2000人のうち、男児の5.1%、女児の5.0%に反芻が認められました。関連する胃腸症状には、腹痛、腹部膨満、体重減少がありました。また、反芻をしている若者のおよそ20%は、ほかの胃腸症状を経験していました。

5〜20歳の患者さん約150人を対象とした別の調査では、反芻症が発症した平均年齢は15歳で、このうち16%に精神疾患の診断基準が当てはまり、3.4%は摂食障害でした。11%はこういった症状を改善するために外科的な処置を受けていました。この調査では、38%に腹痛、21%に便秘、17%に悪心、8%に下痢がありました。胃食道逆流や急性疾患によって嘔吐が生じ、結果として数ヵ月続く反芻につながっている人もいました。

 

● 治療

反芻症の治療は、教育と行動療法的技法を組み合わせることが一般的です。

昔から、反芻が起こる度に乳児の口にレモン果汁を絞るような負の行動療法が用いられていました。反芻を軽減する効果があるとされてきましたが、最近では習慣反転法が推奨されています。習慣反転法は、吐き戻しにつながる行動よりも、その代わりとなる行動を強化する方法です。例えば、乳児が反芻をしようと口に手を持っていったときに、優しく手を押さえて興味のありそうな遊びに誘います。その繰り返しで、反芻から気をそらすことができる場合があります。

 

母子関係や家族関係が良好かどうかを確認することで、問題が明らかになることもあります。ネグレクトや虐待のあることが、幼児の反芻に関係している場合は、子どもの心理社会的環境の改善、家族からの愛情あふれるケア、家族に対する精神療法などが必要とされます。

 

薬物療法は標準的には使われません。しかし、抗精神病薬のメトクロプラミド(プリンペラン)、シメチジン(タガメット)、またはハロペリドール(セレネース)の投与が、反芻を軽減させる効果があったと報告されています。反芻症の青年の治療はしばしば複雑で、個人精神療法や栄養指導、合併する不安や抑うつ症状に対する薬物療法など多岐にわたるアプローチが試みられます。

 

なお、栄養失調や低体重などのある重症例は、治療が始まる前に経鼻胃管栄養が必要な場合もあります。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

 

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